嵐の船出

2008年10月16日 日常
先週までは足並みが揃わず不安視されていたEU各国が足並みを揃え、元々
各国家でブルーデンス政策(金融機関維持措置)を行っていくとしているEUが、
資金流動性に関する危機をEU全体の金融問題として対応策を出した事により
金融マーケット関係は急なクラッシュの不安が少し減ったかと思うのですが、
あくまでもこれはこれ。
10月11月と決算が続きただでさえ株安とCDS清算を抱えている各社が資金確保を
急いでいるここ最近、これからやっと本題の景気後退とそれに伴う企業倒産の規模、
それによって引き起こされる失業者懸念やCDS増加があるのかどうか、といった
局面が迫ってきていると考えます。

さて数値的にも徐々に実体経済への影響が出始めており、これからどこまで消費者
への体感的影響が広がってくるのか、いくつかの大手企業がどうなるか、といった話が
決算期の続くここ暫くの流れかと思っています。
失業者増大と小売売上や消費者物価指数の減退といった実体経済影響が進むに
つれどこまで再び金融市場が悪化に引きずられるのかな、と見ておりますが今の所
実体経済への悪影響はマーケットにもかなり不安視され、消費者にもやっと認識されて
きた感じがありそうです。

EUに目を向けると先週の金融クラッシュ問題への対応こそ市場で歓迎された物の、
住宅バブル問題、景気悪化による消費者意欲減退、大手金融問題と各問題が噴出
し始め、今後も見通しは厳しそうな感じがします。
アイスランド問題の後、現在進行形のウクライナの金融危機、また続いてバルト3国が
かなり厳しくなってきそうな感じで、更にそれらの諸国で貸付の大きいデンマーク・
スウェーデンの金融まで今後を睨むと難しい局面を迎えてきそうで。
ウニクレディットを抱えるイタリア金融をはじめオランダベルギーといった各国の金融
問題を含め、どこまで先週の決定で金融を支えていけるのか、支えきれないのかが
この1・2ヶ月くらいの欧州の混迷を左右しそうです。

そして前から書いておりますがこれら金融機関の直接的問題に加えて元々不動産
バブル色の強かったスペインをはじめとするEU各国家の景気対策がどうなるかもまた、
予断をゆるさ無そうな感じがします。
元々欧州の不動産バブルは産油国の石油バブルにつられていた側面が否めなく、
ここ最近ずるずると下がっている原油価格と昨今の景気状況ではどう考えても不動産
バブルの崩壊が心配です。

既にアイルランドの来年度一般財政赤字が対GDP比6.5%程となる予測となって3%以内に
収めるというEU規則から大きく足を踏み外しそうなのをはじめ、前述してきた通りEU各国
は各々が色々な景気悪化問題を内包しています。
EUという大きな枠を形成し経済協力と通貨統合を行っていった欧州では今回のように
大きな経済問題が発生した時、なまじ結びつきが強くなってしまっているせいか各々の
経済問題や将来起こるであろう景気減速や雇用悪化といった負の問題が互いに足を
引っ張り合いマイナス方向へ連鎖するのではないか、といった不安をここ最近の市場を
見ていても消費者目線を考えていても感じます。
国によって少しずつ違う経済問題をどこまでを各政府が解消しつつEU全体として協調して
景気悪化を下支えし金融不安を解消していけるのかが今後問われてくると考えますが、
EUみたいな規模を形成してしまうと足並みを揃える事は非常に難しいのが良く分かる
数週間でしたし、嵐に向かって今後も舵取りの難しそうな船出であるな、と思う感じでしょうか。

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